蛍の手帖

働けない日を自分で決められる自由

うつ病や双極性障害を抱えている人なら、朝起きた瞬間に「今日は駄目な日だ」という感覚が、なんとなく分かると思う。

でも会社員だった頃の私は、そう分かっていても、自分をごまかして無理に出勤し続けていた。

もちろん、本当に悪化した時期には休職もしたけれど、その手前には「駄目だと分かっているのに休めない時期」がかなり長くあった。

仕事を休むというのは、ただ一日身体を休めることでは終わらない。そこにはどうしても重い罪悪感がついてまわる。

体調の連絡、迷惑をかけることへの謝罪、明日は行けるのかという焦り、そして次に出勤したときに周囲からどう思われるかという視線。それをあれこれ考えてしまう時点で、気持ちはまったく休まらない。

私を含めて、体調に波がある人間にとって「休むたびに誰かに迷惑をかけている」という感覚は、想像以上に重い負担だと思う。

だから私は本当は休むべき日にも無理をして出勤して、誤魔化しがきかなくなって、最後はいつも休職か退職。その繰り返しだった。



そして今も、私は双極性障害の寛解と再発を繰り返している。

だから今でも、起きた瞬間に「今日は駄目だな」と分かる日は普通にある。

ただ、私がフリーランスになって一番良かったと感じているのは「休むことに対する罪悪感が薄れたこと」だ。

朝起きて「今日は駄目だな」と思ったら、その瞬間にその日の仕事は諦める。誰かに許可を取る必要もないし、体調の理由を長々と説明する必要もない。そもそも頭を下げる相手すらいない。今日は無理だから休む。それだけでおしまい。

もちろん、罪悪感や焦りが完全にゼロになったと言えば嘘になる。収入への不安はあるし、自分が働かなければその分だけ仕事が進まないという現実はあるから。

けれど今の私は、働いた時間だけで収入が決まるクライアントワークの割合をできるだけ減らしている。

実際の仕事から得た知見を有料noteとして商品化したり、記事からアフィリエイト収入が入る導線を作ったりして、自分が働けない日にもお金が入る仕組みを少しずつ作ってきた。(→ 2026年1月〜8月の収益報告)

だから、一日なにもしなかったとしても、その日の売上がゼロになることはめったに無い。これは、アルバイトや会社員を休んでしまったときの感覚とは決定的に違う。



「誰かに迷惑をかけた」という負い目がないだけで、休むという時間の中身もずいぶん変わった。

私が会社員だった頃、体調が悪い日はただ布団の中でじっと寝ているだけだった。そして夜になると、何もできなかった自分への不安と罪悪感に、いつも押しつぶされそうになっていた。

でも今は少し違う。大きな公園をゆっくり歩いてみたり、美術館に行ってみたり。ときには日帰りで、ふらっと遠くまで行ったりもする。

会社員だった頃の自分なら「仕事を休んだくせに外出する」なんて抵抗があって絶対にできなかったと思う。

けれど今の私にとって「仕事ができない日」と「何もしてはいけない日」は同じじゃない。

「働けないなら、家でじっと寝ていなければならない」という呪縛のようなものが、自分の中から少し解けたのだと思う。



逆に、調子のいい日は驚くほど仕事をする日もある。

朝から夜までパソコンに向かって、記事を書いたり、SNSの投稿を作り置きしたり、新しいサービスを考えたり、依頼に対応したりする。作業している時間だけを見れば、会社員だった頃よりずっと長い日だってある。

それでも、私にとっては今の方がずっと楽。

調子のいい日にまとめて仕事をして、駄目な日は潔く休む。その波のままに動く働き方が自分には合っているのだと思う。

自由な時間が増えたことより「働けない日を自分で決めていい」ということ。

私にとっては、それこそが今の生活で手に入った何よりも大きな自由なのだと思う。


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