蛍の手帖

体調に波がある私が「働いた分だけ稼ぐ」から離れた理由

私は双極性障害を抱えているので、一年の中でまったく働けないような時期もある。

それでも今は、自分が動けない日にも売上がゼロにならないような仕事の形を作って生活している。

私は会社員として働くことを諦めて、個人事業を始めた人間だ。(会社員を諦めるまでの経緯は『人生が他人事だった ①』で)


私が今日まで生き延びてこられた理由の一つは、かなり早い段階から「働いた分だけ収入になる働き方」から離れられたからだと思っている。

たとえば、誰かから依頼を一件受けて納品すれば、その一件分の収入になる。ゼロから最初にお金を作る方法としては、とても確実で強い。

けれど、この働き方だと休んだ日の収入はそのままゼロになる。

すると、体調が悪くても休むことが怖くなる。休めば収入が減る。減るのが怖いから無理をして動く。そして無理をしたせいで、さらに体調を崩す。

私を含め、毎日安定して働くことができない人間にとって、一番の問題は「たくさん稼げないこと」よりも「安心して休めないこと」にあると思う。

これは、フリーランスの在宅ワークであっても本質は変わらない。家でできる仕事だとしても締切はあるし、クライアントから連絡も来る。納品日は絶対にズラせない。

「今日は調子が悪いので無理です」

こう言えない働き方のままなら、結局は働き続けられないと思う。

つまり、普通に働けない人にとって重要なのは、出社か在宅かといった場所や時間の話じゃない。

「自分が手を止めたら収入も止まってしまう働き方(=労働収入)」からどれだけ離れられるか、にあると思う。



だから私が目指したのは、いわゆる「資産労働」に近い働き方だった。

これは別に「何もしなくても勝手にお金が入ってくる」といった、そういう怪しい話ではない。

調子のいい日に書いた記事が数か月後にも読まれる。そこから有料記事が、自分が体調を崩して何もできなくなっている瞬間にも買われる。

病気の波を無理に消そうとするのではなく、波の「山」で作ったものが、波の「谷」に落ちた自分を支える。



ただし、最初からなんでもかんでも資産にできるわけじゃない。

当たり前だけれど、資産を作るためにも最初は労働が要る。しかもその労働はすぐにはお金にならない。最初は顧客を得るのだって難しいし、一日かけて書いた記事が誰にも読まれないことだって普通にある。

アルバイトを含め、働いた分だけもらえる仕事なら、一時間動けば一時間分の対価が出る。

でも、資産を作る仕事には何の保証もない。それが本当にお金を産んでくれるのかも分からない。自分の努力が対価として受け取れるようになるまでが本当に遅い。

私も最初から資産だけで生計を立てられたわけではなかった。

最初は依頼を受けて対応する仕事を泥臭くこなしながら、そこで得た経験や知識を、記事や商品へ少しずつ移していった。

クライアントは何に困っている人がいるのか。何にならお金を払ってもらえるのか。どこで同じ質問が何度も出るのか。そうしたことは、現実の人とやり取りを重ねてみないと分からなかった。

これはAIが発達した今でも変わらない。

目の前の仕事をすべて捨てていきなり資産へ飛び移るのではなく、日々の仕事の中で見つけたものを、少しずつ資産の形へ移していく。

そういう地道な努力が必要だった。(だから「AI×noteで副業!」みたいな情報は実質全部詐欺だと思ってる。)



もちろん、この資産労働にも限界はある。

情報は古くなるし、似たようなものが世の中に増えていく。プラットフォームの仕様が変われば、売れ方も変わる。

一度作れば永久に稼ぎ続けてくれるような都合のいいものはない。手を入れたり、古いものを新しいものに置き換えたりし続ける作業はどうしても必要になる。

それでも、働いた分だけしかお金にならない仕事をずっと続けていたら、私は今でも体調が悪い日に怯えながら、収入が止まる恐怖と戦っていたと思う。



今でも私は毎日同じようには働けない。明らかに脳の働きが死んでるなと思う日だって普通にある。

でも以前ほど「今日働けなかった」ということには怯えなくなった。昨日までに積み上げたものが、今日も自分の代わりに少し働いてくれているから。

毎日働ける人間になることより、毎日働けない自分でも続けられる仕事を作ることを私は選んだ。

働ける日の自分が、働けない日の自分を養えるように。


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